サイト改善の進め方は?改善点の見つけ方と優先順位、社内を通す提案書の作り方

改善したい点は見えているのに社内の承認が下りない、あるいはGA4を開いても何を直せばよいのか分からない——サイト改善で止まるのは、たいていこのどちらかです。

サイト改善の解説記事の多くは、分析して課題を見つけ、仮説を立てて実行し、効果を測るという手順を示しています。手順としては正しいのですが、実務ではその前後で止まります。

手前では「そもそも何を改善すべきか分からない」、後ろでは「改善案はあるが予算も承認も取れない」という壁があるためです。

本記事では、改善点を見つける3つのアプローチを解説します。アクセス解析では分からない離脱の理由を、ユーザーに直接聞く方法も扱いました。そのうえで、複数出てきた改善案の優先順位をどう決めるか、社内で承認を得るための提案書に何を書くかまで扱いました。あわせて、改善したつもりが数値を下げてしまう「改悪」への備えにも触れます。

読み終えるころには、何から手をつけるかを決め、それを社内に提案できる状態になります。

サイト改善とは|リニューアルとの違い

改善で止まるのは手順ではありません。その前後です。

(参考文献:https://semrush.jp/)

「何を直すか決められない」と「決めたが社内で通らない」。この2点が実務での壁になります。

改善の対象は「集める」と「動かす」の2つ

サイト改善は、2方向に整理できます。

方向

目的

主な打ち手

集める

流入を増やす

検索対策・コンテンツ追加・広告

動かす

来た人を行動につなげる

導線・CTA・フォームの改善

この2つを分けて考えないと、改善案が混ざって優先順位がつかなくなります。

「流入が少ない」と「流入はあるがCVしない」では、打つべき手がまったく違います。同時に両方を追うと、どちらも中途半端になります。

まず自社がどちらの課題を抱えているかを確認してください。判断の手順は第2章で扱います。

リニューアルとの違いと使い分け

費用もリスクも大きく異なります。

項目

改善

リニューアル

対象

既存サイトの一部

サイト全体

費用

数万円〜数十万円

数十万円〜数百万円

期間

数日〜数週間

2〜6か月

検索評価へのリスク

ほぼない

URLが変わると失う場合がある

社内調整

小さい

大きい

多くの課題は、改善で解決します。

問い合わせが少ない、情報が見つけにくい、特定ページの離脱が多い。これらは該当箇所の改修で対応できることがあります。

リニューアルの要否判断は「ホームページリニューアルの失敗」記事で扱っています。費用については「ホームページリニューアルの費用相場」記事をご参照ください。

改善が成果につながる仕組み

1回の変更で大きく変わることは、多くありません。

1回の改善

積み上げた場合

CVRが0.1ポイント上がる

10回で1.0ポイント上がる

変化が誤差に見える

明確な差になる

小さな改善の積み上げで成果が動きます。

だからこそ、続けられる形にすることが重要になります。

1回で終わる改善では、投じた工数に見合いません。続けるには、社内の理解と体制が要ります。この点は第8章と第12章で扱います。

サイト改善の目的と見るべき指標

指標を並べる前に、目的を決めてください。

(参考文献:https://ahrefs.com/ja)

目的を1つに絞ってから指標を選ぶ

目的が曖昧だと、見る指標も打ち手も決まりません。

目的

見る指標

打つ手

CVを増やす

CVR・CV数・フォーム完了率

導線・CTA・フォーム

流入を増やす

セッション・表示回数・順位

コンテンツ・検索対策

認知を広げる

指名検索・直接流入

発信・露出

同時に両方を追うと、どの改善が効いたのか分からなくなります。

流入施策とCV施策を同時に打った場合、CV数が増えても原因を特定できません。どちらか一方に絞ってください。

KPIの設計や目標値の決め方は「コンテンツマーケティングのKPI」記事で扱っています。ここでは改善に使う指標の説明に限定します。

改善のために見る指標

各指標に「これが悪いときに疑うこと」を添えます。

指標

見るもの

悪いときに疑うこと

表示速度

ページの読み込み時間

画像の重さ・スクリプトの量

直帰率

1ページで離れた割合

ファーストビュー・流入の質

滞在時間

読まれている時間

内容の分かりにくさ・情報不足

CVR

成果につながった割合

導線・フォーム・訴求

流入経路

どこから来たか

特定経路への依存

流入キーワード

どんな言葉で来たか

検索意図とのずれ

使用デバイス

PCかスマートフォンか

デバイス別の表示崩れ

訪問のタイミング

曜日・時間帯

対象層とのずれ

指標の定義を覚えることが目的ではありません。

数値が動いたときに何を疑うかが分かれば、改善に進めます。

指標は上流から順に見る

流入→回遊→CVの順に見ると、どこで詰まっているかが特定できます。

順序

見る指標

正常なら次へ

①

セッション数・流入経路

流入は足りている

②

直帰率・回遊率・滞在時間

読まれている

③

CVR・フォーム完了率

行動につながっている

CVRだけを見て判断しないでください。

CVRが低いとき、原因が導線にあるとは限りません。そもそも狙っていない層が流入している場合もあります。

状況

原因

打つ手

流入が増えCVRが下がった

流入の質が変わった

流入経路を見直す

流入は同じでCVRが下がった

ページ側の問題

導線・訴求を見直す

上流から順に確認すれば、この切り分けができます。

サイト改善点の見つけ方|3つのアプローチ

数値・行動・声の3方向から見ます。

(参考文献:https://moz.com/)

多くの解説は「アクセス解析で分析する」とだけ書いていますが、それだけでは分からないことがあります。

アプローチ1|数値から見つける

アクセス解析で、どこで落ちているかを特定します。

見る項目

分かること

ページ別の離脱率

どのページで離れているか

フォームの到達率・完了率

入力前か入力中か

流入経路別のCVR

どの経路の質が高いか

デバイス別の数値

特定環境での問題

検索キーワード別の動き

意図とのずれ

「どこで」落ちているかは分かります。

しかし「なぜ」かは分かりません。

離脱率が高いページがあっても、情報が足りないのか、分かりにくいのか、そもそも対象外の人が来ているのか。数値だけでは判断できません。

アプローチ2|ユーザーの行動から見つける

ヒートマップで、読まれ方を可視化します。

見るもの

分かること

スクロールの到達率

どこまで読まれているか

クリックされた箇所

何に関心があるか

注目されている領域

どこを見ているか

数値では分からない読まれ方が見えます。

「離脱率が高い」という数値の中身が分かります。「そもそも下まで読まれていない」のか「読まれた末に離れている」のかを区別できます。

ただし、ここでも理由までは分かりません。

なぜ途中で読むのをやめたのか。この点は次のアプローチでしか分かりません。

アプローチ3|ユーザーに直接聞く

「なぜ」が分かる唯一の方法です。

手段

得られること

サイト上のアンケート

離脱の理由・探していた情報

ユーザーテスト

操作中のつまずき

問い合わせ内容の分析

分からなかったこと

営業へのヒアリング

商談で聞かれる質問

最後の行が最も低コストです。

営業が繰り返し説明していることは、サイトに書かれていない情報です。1時間の聞き取りで、改善点が複数見つかります。

アンケートの具体的な方法は、次章で扱います。

3つを組み合わせて仮説にする

1つだけでは、仮説の精度が上がりません。

順序

やること

得られるもの

①

数値で当たりをつける

どこに問題があるか

②

行動で確かめる

どう読まれているか

③

声で理由を知る

なぜそうなるのか

この順序で進めると、仮説が具体的になります。

具体例で示します。

段階

分かったこと

数値

料金ページの離脱率が70%

行動

料金表の手前で8割が離脱している

声

「自社の規模だといくらか分からない」

この3つが揃うと、打つ手が決まります。

料金表を規模別に分ける、または問い合わせへの導線を料金表の手前に置く。推測ではなく、根拠のある改善案になります。

勘と経験だけで判断している状態の対極が、この進め方です。

アンケートで「なぜ」を聞く方法

アクセス解析の穴を埋める唯一の方法です。

(参考文献:https://webtan.impress.co.jp/)

数値だけでは理由が分からない

同じ「離脱率70%」でも、原因は複数考えられます。

考えられる原因

打つ手

探している情報がなかった

情報を追加する

情報はあるが見つけられなかった

構成・導線を変える

内容が分かりにくかった

表現を見直す

そもそも対象外の人が来ていた

流入経路を見直す

目的を達成して満足した

改善は不要

最後の行に注意してください。

離脱が必ずしも問題とは限りません。知りたいことが分かって帰った場合、それは成功です。

推測で改善すると、外れる確率が高くなります。

何を聞けばよいか|質問項目の例

5つの質問で、必要な情報が集まります。

#

質問

形式

分かること

①

何を探しに来ましたか

選択式

訪問の目的

②

目的の情報は見つかりましたか

選択式

達成できたか

③

見つからなかったのは何ですか

自由記述

不足している情報

④

分かりにくかった点はありますか

自由記述

表現・構成の課題

⑤

他社と比較していますか

選択式

検討の段階

選択式と自由記述を組み合わせてください。

自由記述だけにすると集計できません。選択式だけにすると、想定外の理由を拾えません。

①と②は必ず選択式にしてください。この2つが集計できると、どの目的の人が達成できていないかが分かります。

設問は5問以内に抑えてください。多いと回答されません。

アンケートを実施するときに気をつけること

回答の読み方に前提があります。

注意点

内容

回答者に偏りがある

関心が高い人が答えやすい

回答数が少ないと判断できない

数件では傾向とは言えない

表示のタイミング

早すぎると離脱を招く

設問の作り方

誘導的な聞き方をしない

1行目が最も重要な前提です。

答えてくれるのは、そのサイトに関心を持っている人です。すぐ離脱した人の理由は、アンケートでも拾えません。

全体の傾向とは限らないことを前提に読んでください。

3行目も実務的な注意です。

ページを開いた直後にアンケートを出すと、それ自体が離脱の原因になります。一定時間の滞在後、または離脱しようとした時点で表示する設計が一般的です。

サイト改善の進め方【6ステップ】

手順を6つに整理します。

(参考文献:https://www.searchenginejournal.com/)

STEP1|目的と現状の数値を確認する

改善前の数値を記録してください。

記録する項目

対象ページのセッション数

直帰率・離脱率

CVR・CV数

フォーム到達率・完了率

記録した日付

これがないと、効果を検証できません。

「改善したが良くなったか分からない」という状態は、比較対象を残していないことが原因です。

第9章の改悪にも気づけなくなります。

STEP2|第3章の3つのアプローチで課題を洗い出す

この段階では絞りません。

数値・行動・声の3方向から、出せるだけ出してください。

やること

数値から気になる箇所を挙げる

ヒートマップで確認する

アンケートや営業ヒアリングから拾う

すべて一覧に書き出す

絞るのは次のステップです。

この段階で絞ると、思い込みで候補を落とすことになります。

STEP3|優先順位をつける

洗い出した候補から、着手するものを決めます。

多くの解説では「優先順位の高いものから」とだけ書かれています。決め方は第6章で扱います。

STEP4|仮説を立てて変更内容を決める

「何をどう変えると、どの指標がどうなるはずか」を言語化してください。

仮説の形

記載例

現状

料金ページの離脱率が70%

原因の仮説

規模別の料金が分からないため

変更内容

従業員規模別の料金表を追加する

期待する結果

離脱率が60%以下になる

仮説がないと、結果が出ても何が効いたか分かりません。

「なんとなく良さそうだから変えた」では、次に活かせません。仮説どおりなら再現でき、外れたなら見立てが違ったと分かります。

STEP5|実行し、判断する時期を先に決める

変更する前に、いつ判断するかを決めてください。

決めること

判断する日

判断に必要なデータ量(セッション数・CV数)

比較する対象(変更前の同期間)

決めていないと、2つの誤りが起きます。

誤り

起きること

良い結果が出るまで待つ

判断が先延ばしになる

数日で判断する

誤差を効果と誤認する

アクセス数が少ないサイトほど、期間が必要になります。

月100セッションのページで、数日のデータから判断することはできません。

STEP6|結果を記録して次につなげる

効いた施策も、効かなかった施策も記録してください。

記録する内容

何をいつ変えたか

変更前後の数値

仮説は当たったか

次に何を試すか

記録がないと、担当者が変わったときに同じ検証を繰り返すことになります。

効かなかった施策の記録も価値があります。「一度試して効果がなかった」という情報は、無駄な再実施を防ぎます。

改善案が複数あるとき、何から着手するか

実務ではここで手が止まります。

(参考文献:https://www.bodhi.co.jp/)

全部やろうとすると何も進まない

改善候補は、洗い出すほど増えます。

状態

起きること

20個の候補に同時着手

どれも中途半端になる

効果検証もできない

何が効いたか分からない

工数が分散する

完了するものがない

リソースは限られています。

順序を決めることが、実行の前提になります。

3つの軸で優先度を決める

感覚ではなく、スコアで決めてください。

軸

内容

評価の方法

①影響の大きさ

そのページの流入量とCVへの近さ

大3・中2・小1

②実行の手間

すぐ変えられるか、開発が必要か

小3・中2・大1

③検証のしやすさ

結果が早く出るか

早3・中2・遅1

3つの合計点で順序を決めます。

具体例で示します。

改善案

①影響

②手間

③検証

合計

フォームの項目を減らす

3

3

3

9

CTAの文言を変える

2

3

3

8

料金ページに規模別表を追加

3

2

2

7

サイト全体の構造を変更

3

1

1

5

上から順に着手すれば、迷いません。

②の評価が逆になっている点に注意してください。手間が小さいほど高得点です。

最初に手をつけるべきもの

手間が小さく、影響が大きいものからです。

着手しやすい改善

理由

文言の変更

すぐ変えられる

CTAの配置と文言

影響が大きい

フォームの項目削減

CVに直結する

不要な要素の削除

開発が不要

成果が早く出るものから着手してください。

理由は2つあります。検証のサイクルが早く回ることと、社内の理解が得られやすいことです。

小さな成果を先に出すと、次の改善への予算や工数を確保しやすくなります。この点は次章の提案書と接続します。

サイト改善の具体的な施策

改善候補の一覧として提示します。各施策の詳細は既存記事で扱っています。

流入を増やす施策

施策

内容

既存ページの改善

順位が中位の記事を強化する

コンテンツの追加

検索意図に合う内容を用意する

タイトル・説明文の見直し

クリック率を上げる

内部リンクの整理

重要なページへの流れを作る

新規作成より、既存ページの改善が早く効きます。

すでに表示されているページは、検索エンジンに認識されています。ゼロから作るより短期間で順位が動きます。

キーワード設計は「コンテンツマーケティングのキーワード選定」記事で扱っています。

回遊を促す施策

施策

内容

内部リンクの追加

関連する情報へつなぐ

ナビゲーションの整理

探しやすくする

関連コンテンツの提示

次に読むものを示す

パンくずリストの設置

現在地を分かりやすくする

1ページで完結させないことが基本です。

読み終えた人に次に見るものがなければ、そこで離脱します。次の行動を用意してください。

コンバージョンにつなげる施策

施策

内容

CTAの配置と文言

押す理由を伝える

フォームの項目削減

入力の負担を減らす

導線の短縮

申し込みまでの手順を減らす

中間CVの設置

問い合わせ以外の出口を用意する

4行目が見落とされやすい打ち手です。

問い合わせだけが出口では、検討段階の人を取りこぼします。資料請求など、ハードルの低い接点を用意してください。

CV導線やCTAの詳細は「オウンドメディアのコンバージョン改善」記事、LPの改善は「LPOとは?」記事で扱っています。

表示速度・技術面の改善

施策

内容

画像の軽量化

ファイルサイズを圧縮する

不要なスクリプトの整理

読み込みを減らす

スマートフォンでの表示確認

実機で崩れを確認する

計測ツールでの確認

速度の数値を把握する

画像の軽量化だけで改善する場合があります。

高解像度の画像を多数配置すると、読み込みに時間がかかります。内容を見てもらう前に離脱されます。

改善を社内で通すための提案書の作り方

本記事最大の論点です。

(参考文献:https://developers.google.com/search/docs/fundamentals/creating-helpful-content?hl=ja)

改善案があっても、社内で承認されなければ実行できません。

提案書が必要になる場面

すべての改善に提案書が要るわけではありません。

提案書が必要な場面

外部への発注が必要なとき

開発の工数を確保するとき

予算を取るとき

複数部署の合意が必要なとき

文言の変更程度なら、担当者の判断で実行できます。

しかし一定規模を超えると、必ず誰かの承認が必要になります。

その段階で「なんとなく良さそう」では通りません。根拠を示す必要があります。

提案書に入れる6つの項目

この6つが揃えば、判断材料になります。

#

項目

書く内容

①

現状の数値

対象ページのセッション・CVR・離脱率

②

特定した課題とその根拠

数値・行動・声の3方向から示す

③

改善案

何をどう変えるか

④

期待できる効果

どの指標がどう変わる見込みか

⑤

必要な費用と工数

外注費・社内の作業時間

⑥

効果を判断する時期

いつ結果を報告するか

②が説得力を左右します。

第3章の3つのアプローチで根拠を示せると、推測ではないことが伝わります。

記載例を示します。

①料金ページは月800セッション、離脱率70%。②ヒートマップでは料金表の手前で8割が離脱。アンケートでは「自社の規模だといくらか分からない」という回答が最多。③従業員規模別の料金目安を追加する。④離脱率60%以下、問い合わせ月3件増を見込む。⑤社内作業4時間、外注費なし。⑥1か月後に数値を比較して報告する。

⑥を入れてください。

判断の時期が示されていないと、「やってみないと分からない」という印象を与えます。

決裁者が見ているのはどこか

知りたいのは3点だけです。

決裁者の関心

提案書のどこで答えるか

いくらかかるのか

⑤必要な費用と工数

何が良くなるのか

④期待できる効果

外れたらどうするのか

⑥効果を判断する時期

施策の詳細な説明より、この3点に答えるほうが通りやすくなります。

技術的な内容を詳しく書いても、決裁者の判断材料にはなりません。必要なのは投資判断の材料です。

3行目が特に効きます。

「1か月後に効果がなければ元に戻します」と書けると、決裁者側のリスクが下がります。判断を後戻りできる提案は、承認されやすくなります。

予算がつかない場合に書けること

費用をかけずにできる範囲を先に実行してください。

無料でできる改善

文言・見出しの変更

CTAの配置と文言の変更

フォームの不要項目の削除

内部リンクの追加

画像の軽量化

その結果を根拠に、次を提案できます。

提案の順序

①費用をかけずにできる改善を実行する

②数値の変化を記録する

③その実績を根拠に投資を提案する

「まず自社でできる範囲でやってみて、効果が出たら投資する」という段階的な提案は通りやすくなります。

いきなり数十万円の提案をするより、実績を示してから提案するほうが確実です。

改善が「改悪」になることもある

変更した結果、数値が下がることは頻繁に起きます。

良かれと思った変更で数値が下がる

具体例を挙げます。

変更

意図

起きたこと

デザインを整理した

見やすくする

必要な情報が見つけにくくなった

フォームの項目を減らした

入力の負担を減らす

質の低い問い合わせが増えた

情報量を減らした

すっきりさせる

判断材料が不足した

CTAを増やした

行動を促す

押し付けがましくなった

変更そのものは正しくても、別の指標が悪化することがあります。

2行目が典型です。

フォームの項目を減らせばCV数は増えます。しかし商談化率が下がれば、営業の工数が無駄になります。

CV数だけでなく、その後の指標も確認してください。

判断を誤らせる要因

変更直後の数値には、別の要因が混ざります。

要因

内容

季節変動

業界の繁忙期・閑散期

外部要因

競合の動き・広告の停止

サンプル数

数日では誤差が大きい

曜日の偏り

平日と休日で傾向が違う

アクセス数が少ないサイトほど、誤りやすくなります。

月100セッションのページで、3日間のデータから判断することはできません。数件の差が、大きな変動に見えます。

第5章のSTEP5で決めた判断時期まで待ってください。

いつでも変更を取り消せるようにする

実務で最も重要な備えです。

やること

変更前の画面をキャプチャで残す

変更前の数値を記録する

変更内容と日付を記録する

元に戻す手順を確認しておく

変更は1つずつが原則です。

複数箇所を同時に変えると、数値が下がったときに何が原因か特定できません。すべてを戻すことになり、良かった変更まで失います。

変更の仕方

数値が下がったとき

1つずつ変える

原因を特定できる

まとめて変える

特定できず全部戻すことになる

急ぎたい場合でも、この原則は守ってください。

サイト改善で使う分析ツール

多くの場合、無料の範囲で足ります。

まず無料で使えるもの

3つあれば、課題の特定はできます。

ツール

分かること

用途

GA4

流入・行動・CV

数値から課題を見つける

Search Console

検索での表示・順位・クリック率

流入前の状況を見る

PageSpeed Insights

表示速度

技術面の課題を確認する

多くの場合、課題の特定はこの範囲で足ります。

有料ツールを検討する前に、この3つを使い切ってください。

行動を見るツール・検証するツール

必要になった段階で追加してください。

ツール

できること

導入の目安

ヒートマップ

読まれ方の可視化

月1,000セッション以上

A/Bテストツール

複数案の比較

CV数が月数十件以上

EFOツール

フォームの詳細分析

フォーム到達数が一定以上

2行目に注意してください。

A/Bテストは、アクセス数が一定以上ないと有意な判断ができません。CV数が月数件の状態では、差が偶然の範囲を超えません。

ヒートマップには無料プランがあるものもあります。まず無料の範囲で試してください。

AIを改善に使う場合

道具としての位置づけを整理します。

使えること

任せられないこと

改善案の洗い出し

どれを優先するかの判断

文言の複数パターン作成

自社に合うかの判断

競合ページの構成整理

数値に基づく意思決定

提案書の下書き

根拠となるデータの解釈

判断そのものを任せるものではありません。

自社の数値やユーザーの実態を知らないため、一般論としての改善案しか出てきません。

有効な使い方は、案の量を増やすことです。

CTAの文言を10パターン出す、といった作業には向いています。その中からどれを選ぶかは、自社のデータで判断してください。

新しいツールを検討する前に

無料ツールで出せる情報を使い切っていますか。

確認すること

GA4のコンバージョン設定は済んでいるか

Search Consoleと連携しているか

ページ別の離脱率を確認したか

フォームの到達率と完了率を分けて見ているか

PageSpeed Insightsで速度を測ったか

これらが未実施のまま新しいツールを入れても、見る画面が増えるだけです。

判断は変わりません。まず既存の範囲を使い切ってください。

当社はツールを販売する立場ではないため、この点を率直にお伝えしています。

サイトの種類別に見る改善のポイント

サイトの種類によって、見るべき点が変わります。

BtoBサイト|検討期間の長さを前提に設計する

その場で決まらないことが前提です。

やること

資料請求など中間的な接点を用意する

検討段階に応じた情報を配置する

事例・実績を充実させる

稟議に使える資料を提供する

問い合わせだけを出口にしないでください。

検討段階の人は、いきなり問い合わせません。ハードルの低い接点が必要になります。

BtoBの購買プロセスの詳細は「BtoBの購買プロセス」記事で扱っています。

ECサイト|カートまでの離脱を減らす

各段階で離脱率を見てください。

段階

見る指標

商品ページ

閲覧数・カート追加率

カート

カートからの離脱率

入力画面

入力完了率

決済

決済完了率

どの段階で落ちているかで、打つ手が変わります。

カートに入れた後の離脱が多い場合、送料や決済方法が要因であることがあります。商品ページの改善では解決しません。

採用サイト|応募後のミスマッチまで見る

応募数だけを見ないでください。

見る指標

確認すること

応募数

母数は足りているか

選考に進む割合

質は合っているか

辞退率

期待とのずれはないか

入社後の定着

情報は正確だったか

良い面だけを見せると、応募は増えますがミスマッチも増えます。

求められる水準や大変な部分も含めて伝えると、応募数は減りますが適合度は上がります。

コーポレートサイト|目的が複数あることを前提にする

訪問者が複数の層に分かれます。

訪問者

知りたいこと

見込み顧客

サービス内容・実績

既存の取引先

会社情報・連絡先

求職者

事業内容・社風

投資家・金融機関

業績・経営情報

誰向けの改善なのかを決めてから着手してください。

全員に向けて改善しようとすると、どの層にも合わない構成になります。

まず主要な訪問者を1つに絞り、その層の導線から改善してください。

サイト改善が進まない・成果が出ない原因

横断的な原因を4つ挙げます。

勘と経験だけで判断している

根拠のない改善は、外れる確率が高くなります。

状態

「見にくいから直そう」で変更する

社内の意見だけで判断する

数値を見ずに施策を決める

競合を真似して変更する

第3章の3つのアプローチで根拠を作ってください。

数値・行動・声の3方向から確認すれば、推測ではない改善案になります。

見た目だけを変えている

デザインの刷新は、社内で評価されやすい改善です。

目に見える変化があるため、「新しくなった」と実感されます。

しかし情報の中身や導線が変わっていなければ、数値は動きません。

変わったこと

変わっていないこと

色使い・レイアウト

掲載している情報

見た目の印象

導線の構造

写真・アイコン

訴求の内容

改善の目的が「見た目を新しくする」なら問題ありません。

CVを増やす目的なら、中身の変更が必要です。

1回やって終わりになっている

改善は積み上げで効きます。

状態

結果

1回改善して終了

効果が限定的で、評価もされない

継続的に改善

積み上がって差が出る

1回で大きく変わることは多くありません。

第1章で述べたとおり、小さな改善の積み上げで成果が動きます。

続く形にすることが前提です。月1回でも構いません。頻度より継続を優先してください。

担当者が1人で抱えている

判断も実行も1人に集中している状態です。

起きること

その人の異動や繁忙で止まる

判断の理由が共有されない

過去の検証結果が失われる

後任が一から始めることになる

記録を残す運用にしてください。

第5章のSTEP6で述べたとおり、変更内容と結果を記録しておけば、担当者が変わっても継続できます。

改善の判断基準も文書化してください。第6章の3軸があれば、他の人でも同じ判断ができます。

サイト改善で担当者から多い質問

どこから手をつければよいですか

手間が小さく、影響が大きいものからです。

文言の変更、CTAの配置、フォームの項目削減。これらは開発が不要で、CVに近い箇所です。

改善候補が複数ある場合は、影響の大きさ・実行の手間・検証のしやすさの3軸でスコア化してください。手順は第6章にまとめました。

どのくらいで数値は動きますか

施策によって異なります。

CVR系の改善は数週間、検索流入に関わる改善は数か月と幅があります。アクセス数が少ないサイトほど、判断までの期間が長くなります。

具体的な期間を約束することはできません。着手前に判断する時期を決めておいてください。第5章のSTEP5をご確認ください。

費用をかけずにできる改善はありますか

あります。

文言の変更、CTAの配置と文言、フォームの不要項目の削除、内部リンクの追加、画像の軽量化。これらは無料ツールと自社作業で完結します。

まず費用をかけずにできる範囲を実行し、その結果を根拠に投資を提案するという進め方が現実的です。第8章をご確認ください。

改善したら数値が下がりました

まず変更前の数値と比較してください。

判断する前に、期間と外部要因を確認します。数日のデータでは誤差が大きく、季節変動が混ざることもあります。

複数箇所を同時に変えていた場合、原因の特定は困難になります。この場合は一度すべて戻し、1つずつ変え直してください。第9章をご確認ください。

まとめ|サイト改善は「見つける・絞る・通す」の3つで決まる

手順は多くの記事で示されています。実務で止まるのは、その前後です。

最後に、今週やることを3つに絞ってお伝えします。

  1. 改善前の主要な数値を記録する
  2. 改善候補を3つに絞る
  3. 提案書の6項目を埋めてみる

3つ目で手が止まったら、根拠が不足しています。第3章のアプローチに戻ってください。

サイトの課題の特定や、改善の進め方でお困りの場合は、WINDOMへご相談ください。

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