企業が自社メディアを活用して、集客やブランディングを強化する手段として注目されているのが、オウンドメディア戦略です。しかし、正しい戦略で進めないと、期待した効果が得られないこともあります。
本記事では、オウンドメディア戦略を成功に導くための具体的な7つのステップと失敗パターン例を解説し、企業が戦略的に取り組むためのヒントをお届けします。
この記事を参考に、正しい戦略で資産となるようなオウンドメディアを運用していきましょう。
SEOコンサルタント
毛利浩一郎
もうりこういちろう
SEO歴5年。新規で立ち上げた通信系メディアをリリース1年で100万PVまでグロース ウォーターサーバーや美容系メディアなど対応業種は多岐にわたる。
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オウンドメディア戦略とは?
最初にオウンドメディア戦略について、以下の2点を解説します。
- オウンドメディア戦略の定義
- マーケティング戦略に取り入れたい理由
オウンドメディア戦略の定義
オウンドメディア戦略とは、企業が運営するメディアを通じて、ターゲットとなる顧客層に向けて継続的に情報を発信して成果を上げるためのマーケティング手法です。
Webサイトやブログは企業の資産であり、SEO対策を通じて検索エンジンからの流入を増やすことや、ブランディングにおいて他社との差別化を図ることが可能です。ターゲット層に直接リーチできる施策としても注目されています。
オウンドメディアは、自社の強みを活かし、長期的な集客効果を狙える強力な戦略です。
マーケティング戦略に取り入れたい理由
オウンドメディアをマーケティング戦略に取り入れる理由は、顧客との直接的かつ持続的なコミュニケーションを図るためです。自社メディアを通じて発信されるコンテンツは信頼性が高く、企業の価値観や専門知識を伝えるため、顧客の購買意欲やブランドへのロイヤルティを強化する効果が期待できます。
SEO対策を施したコンテンツは、検索エンジンを通じて長期的に安定した集客をもたらし、広告に頼らない自然なトラフィックの増加を実現します。これにより、コストを抑えながらも持続的なマーケティング効果を狙える点が大きなメリットです。
長期的な視点は必要ですが、運用を続けるにあたり、コストを抑えられるところが特徴です。
戦略なしにオウンドメディアを運営するリスク
戦略なしにオウンドメディアを運営する際に、よくあるリスクとして以下の3点について解説します。
- 読者が増えてもCVが達成できない
- 競合メディアが出たときに勝てない
- ROI(投資利益率)が低くなる
読者が増えてもCVが達成できない
オウンドメディアを運営していても、戦略が欠如していると、読者を顧客に転換できないことが大いにあります。とくに、コンテンツがターゲットとなる顧客のニーズに合致していない場合やCTAが適切に設定されていないと、集客は成功してもCVに結びつきません。
読者の集客だけを考えるのではなく、CVを狙う戦略を目指しましょう。
競合メディアが出たときに勝てない
競合がオウンドメディアを展開し、より質の高いコンテンツや効果的な戦略を打ち出している場合、準備不足だと市場シェアを奪われるリスクが高まります。とくに、競合がターゲットに響くコンテンツを提供していると、自社のメディアが埋もれてしまう可能性があります。
競合分析で自社の強みを見極め、独自性で差別化を図ることが戦略のポイントです。
ROI(投資利益率)が低くなる
オウンドメディアを戦略なしに運営すると、目標が不明確なまま運営コストがかかり、成果に結びつかない可能性が高まります。これにより、集客や売上が期待に達せず、投資に対するリターンも少なくなります。
ROI(投資利益率)の計算式は次の通りです。
戦略がないことでこの利益が十分に得られず、投資に対するリターンが低下するため、結果的にROIが低くなり効果的な投資とは言えなくなります。
オウンドメディア戦略成功への7ステップ
オウンドメディア戦略を成功させるためには、明確なステップを踏むことが重要です。ペルソナの明確化からコンテンツのリライトまで、以下の7つのステップについて説明します。
- ステップ1:ペルソナを明確化
- ステップ2:メディアの目的・KPIを設定
- ステップ3:競合分析から差別化要素の抽出
- ステップ4:メディアの運営体制を構築
- ステップ5:質の高いコンテンツの作成
- ステップ6:モニタリング(効果測定)
- ステップ7:コンテンツのリライト
ステップ1:ペルソナを明確化
オウンドメディア戦略を成功させるための最初のステップは、ペルソナを明確に定義することです。ペルソナが不明確だと、誰に向けたコンテンツなのかが曖昧になり、結果的に集客効果が薄れてしまいます。
たとえば年齢・性別・職業・趣味などの具体的な情報をもとに、理想の顧客像を詳細に描くことで、コンテンツ作成の方向性が定まります。明確なペルソナを持つことで、ペルソナに近い読者層の集客やコンバージョンの向上につながるのです。
ステップ2:メディアの目的・KPIを設定
オウンドメディア戦略の成功には、メディアの目的を明確にし、それに基づいてKPI(重要業績評価指標)を設定することが不可欠です。目的がはっきりしていないと、成果を測定する指標も曖昧になり、改善点が見えにくくなります。
たとえば「月間トラフィックを20%増加させる」や「リード獲得数を50件にする」など、具体的な数値目標を立てることが重要です。こうした数値をもとに、CVRやエンゲージメント率のような指標も設定し、定期的に進捗を確認しましょう。そうすることで、戦略の効果を正確に評価し、改善の方向性を決めることができます。
ステップ3:競合分析から差別化要素の抽出
オウンドメディア戦略で成功を収めるためには、競合メディアを分析しましょう。どのようなCTAを設定していて、どのようなキーワードで記事を書いているのかをリサーチすることが重要です。
たとえば競合サイトの人気記事やトラフィックの多いページを確認し、その強みを把握します。これをもとに、自社メディアの独自性や強みを活かした差別化要素を抽出することが必要です。独自の視点を盛り込んだコンテンツを提供することで、競合とは異なる価値をユーザーに提供でき、差別化が図れます。その結果、オウンドメディアは競合に埋もれず、独自のポジションを確立できるのです。
ステップ4:メディアの運営体制を構築
オウンドメディアを成功させるためには、継続的に質の高いコンテンツを発信する運営体制の構築が必要になります。たとえばライター・デザイナー・マーケティング担当者など、各専門分野の人材を揃え、役割分担を明確にすることが重要です。全員自社のメンバーから選出する必要はありません。リソースが不足する場合は、外注も検討してみましょう。
運営チームが適切に機能すれば、コンテンツ作成の効率が上がり、発信頻度を安定させることができます。また、定期的にコンテンツ制作のスケジュールを組み、進行状況を管理することで、計画的な運営が可能になります。これにより、メディア全体の一貫性を保ちながら、ユーザーに価値ある情報を提供し続けられるでしょう。
ステップ5:質の高いコンテンツの作成
オウンドメディアの成功には、質の高いコンテンツを作成することが重要です。質の高いコンテンツは、ユーザーの信頼を獲得し、長期的な集客につながります。
たとえば、SEOを意識した適切なキーワードを選定し、ユーザーの検索意図に応えるコンテンツを作ることがポイントです。読みやすいレイアウトや専門的な情報を組み合わせることで、ターゲット層に響くコンテンツを提供しましょう。また、画像や動画などの視覚的要素も積極的に活用することで、魅力あるコンテンツを作成することをおすすめします。
そうすることで、ユーザーの滞在時間やエンゲージメントを向上させることができます。
ステップ6:モニタリング(効果測定)
オウンドメディアの成功には、戦略がどの程度効果を上げているかを定期的にモニタリングすることが不可欠です。たとえば、Googleアナリティクスを使用して、トラフィック数・リード数・コンバージョン率などのデータを収集し、実際のパフォーマンスを評価します。こうしたデータをもとに、どのコンテンツが効果的で、どの部分に改善の余地があるかを見極めることができます。
また、ヒートマップツールを使ってユーザーの行動を可視化し、UXの向上やコンテンツの最適化にも役立てましょう。モニタリングを通じて、PDCAサイクルを回し継続的に戦略を改善することが、オウンドメディア運営の成功ポイントです。
ステップ7:コンテンツのリライト
オウンドメディアで成功するためには、コンテンツのリライトも重要です。作成したコンテンツは一度で完了するものではなく、定期的にリライトし、最新の情報やトレンドに基づいて更新する必要があります。
たとえば、業界の変化や新しいデータが更新された場合、それに合わせてコンテンツを修正することで、検索エンジンの評価を維持しやすくなります。リライトすることで、既存のコンテンツが再び注目を集め、ターゲットユーザーにとって価値のある情報を提供し続けられるでしょう。これにより、SEO効果の維持や集客力の向上にもつながります。
ステップ数は多いですが、確実に遂行することで、競合メディアに差をつけられるでしょう。
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オウンドメディア戦略の失敗パターン例
オウンドメディア戦略には成功だけでなく失敗例も多くあります。以下に失敗パターン例とその対策を紹介します。
- メディアの目的が定まっていない
- 達成困難な目標が設定されている
- 専任の担当者不在で片手間に取り組んでいる
- コンテンツの質が低い
メディアの目的が定まっていない
オウンドメディアを運営する際、明確な目的が設定されていないと戦略が一貫せず、結果的に集客やコンバージョン効果が期待できなくなります。たとえば、「ブランド認知度を高める」のか「リードを獲得する」のかといった目的が曖昧なままだと、コンテンツがターゲットに響かず、無駄な労力を費やすことになりかねません。
初期段階でメディアの役割を明確にし、ターゲット層に合ったコンテンツを提供することで、効果的な運営が可能となります。
達成困難な目標が設定されている
現実的でない高すぎる目標を設定すると、担当者が目標達成に対するプレッシャーを感じ、モチベーションが低下する要因となります。チーム全体の効率が悪化し、戦略そのものが破綻する可能性も出てくるでしょう。
たとえば「短期間でトラフィックを3倍にする」といった非現実的な目標ではなく、段階的に達成可能なKPIを設定し、少しずつ成果を積み重ねることが重要です。これにより、担当者のやる気を保ちながら、計画的に目標に向かって進められるでしょう。
専任の担当者不在で片手間に取り組んでいる
オウンドメディアの運営は、継続的で計画的な取り組みが求められるため、専任の担当者不在では大きな問題が生じることがあります。専任の担当者がいない状態で片手間に運営すると、コンテンツの質が低下し、発信頻度も不安定になりがちです。
これにより、戦略全体が崩れ、集客やコンバージョンの効果が大幅に減少するリスクがあります。そのため、必要に応じて外注も検討しながら、専任の担当者を確保することも必要です。適切な役割分担と強固なチーム体制を構築することが、オウンドメディア戦略には欠かせません。
コンテンツの質が低い
質の低いコンテンツはSEOの評価を大きく下げるだけでなく、ユーザーの信頼を損ね、リピーターの獲得も難しくなります。表面的な情報や価値のない記事が多いと、検索エンジンでの評価も下がり、オウンドメディアの集客効果が失われてしまいます。
成功のポイントは、ターゲットユーザーのニーズに応え、価値ある情報を提供する質の高いコンテンツを作成することです。リサーチをもとに、深掘りした情報や具体例を盛り込み、ユーザーにとって有益で信頼できるコンテンツを提供しましょう。
戦略の失敗例と同じような行動をとらないように、注意が必要です。
オウンドメディア戦略のメリット・デメリット
オウンドメディア戦略には、企業にとって多くのメリットがありますが、同時にデメリットも存在します。
- メリット1:ブランディングできる
- メリット2:リード獲得につなげられる
- メリット3:広告宣伝費を削減できる
- デメリット1:成果が出るのに時間がかかる
- デメリット2:専門人材の確保が必要
- デメリット3:記事の質が低いと逆効果
メリット1:ブランディングできる
オウンドメディアは、企業のブランディングに効果的です。自社の価値観や専門知識を継続的に発信することで、ターゲットユーザーとの信頼関係を深め、ブランドの認知度を大きく向上できます。こうした長期的な信頼関係の構築は、リピーターやロイヤルカスタマーの育成にもつながり、企業にとって強力なファン層を形成することが可能です。
メリット2:リード獲得につなげられる
オウンドメディアを活用することで、効果的にリード(見込み顧客)を獲得できます。価値あるコンテンツを提供することで、ターゲットユーザーの興味を引き、自然な形でリード獲得につなげることが可能です。
また、メールマーケティングやホワイトペーパーの提供といったコンテンツを組み合わせることで、リード育成や見込み顧客の絞り込みにも役立ちます。その結果、より効率的に顧客化を進められるでしょう。
メリット3:広告宣伝費を削減できる
オウンドメディアは自社で運営することで、広告宣伝費を大幅に削減できる点が大きなメリットです。広告に依存せず、SEOやコンテンツマーケティングを活用することで、自然検索による集客を長期的に維持することが可能です。
さらに一度作成したコンテンツは企業の資産となり、再利用やリライトを通じて継続的に効果を発揮するため、コスト効率の高い集客手法として機能します。
ブランディングとリードの強化が実現できる点は、大きなメリットです。
デメリット1:成果が出るのに時間がかかる
オウンドメディアは短期間での成果を期待するのが難しい戦略であり、効果が出るまでには時間がかかることが多い傾向です。検索エンジンでの評価が高まるには継続的な取り組みが必要なため、最低でも半年程度の長期的な視点で計画を立てることが重要です。
そのため定期的なモニタリングを進め、進捗を確認しながら必要に応じて戦略を調整することが、最終的に成果を出すためのポイントとなります。
デメリット2:専門人材の確保が必要
オウンドメディアで質の高いコンテンツを継続的に提供するためには、ライター・デザイナー・マーケターといった専門人材の確保が必要です。SEOやマーケティングの知識を持った人材が不足している場合、戦略全体の進行が滞るリスクが高まります。
こうした専門人材の確保にはコストがかかり、とくに中小企業にとっては大きな負担となることがあります。人材の採用や育成にかかるコストも、オウンドメディア運営の一つの課題です。
デメリット3:記事の質が低いと逆効果
オウンドメディアに掲載する記事の質が低いと、SEOやユーザーの信頼に大きな悪影響を与える可能性があります。質の低いコンテンツは検索エンジンでの評価が下がり、結果として検索順位が低くなるため、ターゲットユーザーにも届きにくくなります。
また、ユーザーが求める情報や価値を提供できない記事は、企業への信頼を損ねるリスクがあります。そのため、常に質の高いコンテンツを作成し、継続的に記事の質を向上させる努力が必要です。
時間やリソースがかかるため、コストを上回る価値が提供できるかを立ち上げ前に検証する必要があるでしょう。
オウンドメディア戦略でよくある質問
オウンドメディアで成果を出すには何をすべきですか?
オウンドメディアで成果を出すためには、まずペルソナを明確に定義し、そのニーズや課題に応えるコンテンツを提供することが不可欠です。次にKPIを設定し、定期的に効果を測定することで、戦略を改善していくことが求められます。
具体的には、トラフィック数やコンバージョン率などを監視し、目標に向けて調整します。またSEO対策やSNSとの連携を強化することで、集客力を高め、オウンドメディアの成果を最大化することが可能です。
数値目標は必要ですが、理想を高く掲げすぎずに、実現可能なKPIにしましょう。
オウンドメディアのSEO対策はどう進めればよいですか?
オウンドメディアのSEO対策を進める際は、まずキーワードリサーチが出発点となります。ターゲットユーザーが実際に検索するキーワードをしっかりと洗い出し、それに基づいて価値あるコンテンツを作成することが重要です。
さらに内部リンクを適切に設置してサイト内の回遊性を高めることや、外部リンクの獲得によって信頼性を向上させることも、SEO対策には欠かせません。またモバイルフレンドリーなサイト設計やページ速度の最適化も、検索エンジンの評価を上げるために重要な要素です。
キーワードリサーチが原点になるのは、記事制作でも同じですね。
オウンドメディアの立ち上げはどのくらいかかりますか?
オウンドメディアの立ち上げには、通常3ヶ月から6ヶ月程度の準備期間が必要です。この期間中にサイトの設計・構築を進め、ターゲットに合ったコンテンツを計画・作成し、同時にSEO対策を進めることが求められます。
また、適切なCMSの導入やデザイン、ユーザー体験の向上を図ることも重要です。立ち上げ後も、定期的なコンテンツの更新やパフォーマンスの効果測定をしながら、戦略調整を加えてオウンドメディアを成長させる必要があります。
オウンドメディアの立ち上げ期間を考慮して、戦略を進めていきましょう。
オウンドメディアのKPIではどの指標を重視すべきですか?
オウンドメディアのKPIでは、トラフィック数・リード獲得数・エンゲージメント率・コンバージョン率など、複数の指標を重視することが必要です。トラフィック数は訪問者数の増加を示し、リード獲得数は見込み顧客の数を測る指標となります。エンゲージメント率はユーザーがどれだけコンテンツに関わっているかを示し、コンバージョン率は具体的な成果に繋がる行動を測定します。
これらの指標をもとに目標を設定し、定期的に効果を確認しながら戦略を改善していくことが、オウンドメディアの成功には不可欠です。
指標を設定するだけでなく、定期的に数値を確認して検証することもお忘れなく。
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まとめ
オウンドメディア戦略を成功させるためには、ペルソナの明確化や質の高いコンテンツ作成、効果的なKPIの設定が不可欠です。また長期的な視点で運営することが重要であり、PDCAサイクルを回しながら改善を繰り返すことで、より高い成果を上げられます。
オウンドメディア戦略により、企業のブランド価値向上や安定した集客の基盤を築いていきましょう。