SEO対策に取り組む中で、意図せずに「カニバリ(カニバリゼーション)」が起こってしまい、検索順位が伸び悩んでいる…そんな経験はありませんか?
カニバリとは、同じサイト内の複数ページが似たキーワードで競合し合い、検索エンジンに「どのページを評価すべきか」を判断させづらくなる現象です。
この状態を放置すると、順位の上昇が妨げられるだけでなく、被リンクの評価が分散したり、ユーザーの利便性を損なったりと、SEO全体に悪影響を及ぼします。
本記事では、SEOにおけるカニバリの定義から、具体的なデメリットや原因、見つけ方、そして対処法までをわかりやすく解説します。
「検索順位が思うように伸びない」「似たページが多くなってきたかも」と感じている方は、ぜひ最後までご覧ください。

SEOにおけるカニバリゼーションとは、ウェブサイト内の複数のページが、似たようなキーワードや検索意図で互いに競合してしまう状態のことです。
カニバリゼーションは共食いという意味を持ち、マーケティング業界では自社の製品やサービスが市場で競合し、売上や顧客を取り合う状態を指します。
本来であれば、SEO対策では1つのページに評価を集中させ、検索順位の安定化と向上を目指すべきです。カニバリが起きると検索エンジンがどのページを優先すべきか判断しにくくなり、検索順位が低下するリスクが生じます。
カニバリを放置すると、検索順位の安定性が損なわれ、ウェブサイト全体のパフォーマンスにも悪影響が出るため、早期の発見と対策が重要です。

カニバリが起こるデメリットは以下の3つです。
一見、自サイトのページが検索結果に複数表示されるのは良いことのように思えますが、実際には大きな問題を引き起こします。
ここでは、カニバリがSEOにもたらす問題点について詳しく解説します。最後まで見れば、SEOにおけるカニバリのデメリットが分かり、自社サイトの課題を振り返るきっかけになるでしょう。
上位表示されづらくなる
カニバリの大きな問題点は、検索順位の安定性に影響を与えることです。Googleはユーザーの検索意図に対して、最も関連性が高く品質が良いと判断したページを検索結果に表示するアルゴリズムを採用しています。
しかし、似たようなキーワードをターゲットにしたページが複数存在すると、Googleはどのページを優先的に評価すべきか判断できず、ページ同士が評価を食い合ってしまいます。
その結果、検索順位が日によって大きく変動したり、想定外のページが上位に出てしまったりすることがあります。
カニバリが起きている場合、安定した検索上位を確保するのは難しく、トラフィックやコンバージョンの損失につながりやすいです。また、ページ同士が無意味な内部競争を続けている間に、競合サイトが最適化されたコンテンツで上位を占拠するリスクも高まります。
被リンクの評価が分散する
SEOにおいて、被リンクは今もなお検索順位に直結する重要な評価指標です。しかし、カニバリが起きると、外部から得たリンクが複数ページに分散し、本来なら一点集中できた評価が薄まってしまいます。
例えば、SEOのノウハウを紹介するA記事とB記事があり、どちらも被リンクを獲得しているとします。リンクが分散すれば、それぞれのページに流れ込む評価は半減し、結果として両方のページのSEO評価が伸び悩むことになります
内部リンクでも同様で、どのページが本命なのかが曖昧になれば、クローラーはサイト構造を正しく理解できず、インデックスの効率が悪くなります。
SEO対策として重要なことは、コンテンツの一本化と内部リンクの最適化です。リンク評価を1ページに集中させることで、検索順位を押し上げる原動力となります。
ユーザビリティが低下する
カニバリは検索エンジンだけでなく、サイトを訪れるユーザーにも混乱をもたらします。たとえば、検索結果に似たタイトルのページが並んでいると、ユーザーは「どちらを読めば良いのか」と迷います。
ページを開いた後に内容が重複していたり、情報が古いページが表示されたりすれば、ユーザーの信頼を失いかねません。
ユーザビリティの低下は、直帰率や離脱率の増加につながる大きな問題点です。とくにBtoBサイトやECサイトでは、コンバージョンに直結するページにユーザーを正しく誘導できなければ、問い合わせや購入などのアクションを逃すことになります。
ユーザーにとって「探している情報に迷わず辿り着けるサイト」は、それだけで信頼される存在です。カニバリの解消は、単に検索順位を上げるだけでなく、ユーザー体験を最適化するための施策と言えるでしょう。

SEOでカニバリが起こる原因は以下の3つです。
SEO対策を実行する中で、気づかぬうちにカニバリが発生することは珍しくありません。
ここでは、SEOでカニバリが起こる原因について詳しく解説します。最後まで見れば、カニバリの原因が分かり、早期に対処できるようになるでしょう。
類似キーワードが使用されている
SEOでカニバリが起こる大きな原因は、ページ間で類似キーワードを頻繁に使用していることです。以下のようなSEOの核となる部分でキーワードの重複が起こると、検索順位に悪影響を及ぼす可能性があります。
- タイトル
- メタディスクリプション
- h1・h2などの見出し
- アンカーテキスト
- 画像のaltタグ
たとえば、「SEO対策の方法」というページと「SEO内部対策の基本」というページがあり、両方に「SEO 初心者」や「内部施策」というキーワードが複数配置されていれば、検索エンジンは両者を競合ページと認識します。その結果、順位が安定せず、評価が分散します。
このリスクを回避するためには、各ページのテーマと役割を明確にし、使用するキーワードや表現を差別化することが不可欠です。キーワードの管理表を活用し、重複を事前に防ぐ運用を徹底しましょう。
コンテンツ自体が類似している
カニバリが起こる2つ目の原因は、コンテンツ内容が似すぎていることです。SEOでは、単に文章が重なるだけでなく、検索意図やユーザー課題が一致する場合、検索エンジンは「同じニーズに応えるコンテンツ」と認識します。
たとえば、「ホームページの作り方」と「初心者向けホームページ作成マニュアル」という記事が、それぞれ異なるタイトルや切り口を持っていても、両方が「Webサイトを自作したい初心者」向けに作成されていれば、検索エンジンはコンテンツの重複を疑い、どちらを評価すべきか迷います。その結果、どちらのページも順位が安定しなくなるのです。
これを防ぐためには、ペルソナ(ターゲット読者)を明確にし、コンテンツごとに解決する課題を細かく差別化することが重要です。また、構成やフォーマットに変化をつけることで、コンテンツの独自性を高めることも効果的です。
キーワードリサーチ・コンテンツ設計が不十分
SEOでカニバリを引き起こす最大の落とし穴は、キーワードリサーチとコンテンツ設計の甘さです。競合状況や検索意図の違いを深く分析せずにコンテンツを量産すると、知らぬ間に同じキーワードを複数ページでターゲティングしてしまい、カニバリが発生します。
この問題を解消するには、キーワードマッピングを行い、ページごとにターゲットキーワードと検索意図を整理することが重要です。情報設計の段階でトピッククラスター戦略を取り入れ、ピラーページとクラスターコンテンツの関連性と役割を明確にすることで、SEO効果を最大化できます。

SEOでカニバリを見つける方法は以下の4つです。
カニバリは、早めに対策することで検索順位の低下や評価の分散を防げます。しかし、「どうやってカニバリを見つければ良いのか?」と悩む方も多いでしょう。
ここでは、初心者でも簡単に実践できるカニバリの調査方法を解説します。最後まで見れば、カニバリの見つけ方が分かり、自社サイトの検索順位改善につなげられるでしょう。
【無料】site:検索
最も手軽なカニバリ調査方法は、Google検索で使えるsite:検索です。
検索窓に「site:自社サイトURL キーワード」を入力します。例えば、弊社のサイトで「SEO」と検索すると、以下のようにSEOに関連するインデックスページ一覧が表示されます。

ただし、複数の記事が表示されたからといって、カニバリが起きているわけではありません。
site:検索は、あくまで簡易的な調査方法です。意図しないページや関係の薄いページが先に出てくる場合は、後述するサーチコンソールなどでさらに詳しく確認しましょう。
【無料】Google Search Console
Google Search Console(グーグルサーチコンソール)は、無料で利用できる便利なSEOツールです。検索キーワードごとに、カニバリの発生状況を確認できます。
まず初めに、サーチコンソールの管理画面左側にある「検索結果」をクリックします。

次に、右上の「フィルタを追加」をクリックし、検索キーワードを選択します。

キーワードの検索窓が表示されるため、カニバリが疑われるキーワードを入力しましょう。入力したら、右下の「適用」をクリックします。

ページを選択すると、調査したキーワードに関するページ一覧が表示されます。

上位表示させたいページ以外のURLが表示されている場合、カニバリが発生している可能性が高いです。この情報をもとに、コンテンツを統合・リライトするか判断できます。
なお、URLやキーワードを一つずつ確認する作業はかなりの時間を要するため、現実的ではありません。あらかじめsite:検索でカニバリの疑いがあると判断したキーワードに絞り、調査を行うことをおすすめします。
【有料】Ahrefs

Ahrefs(エイチレフス)は、SEO対策やキーワードリサーチにおいて高機能な分析が可能な有料ツールです。Ahrefsでカニバリを調査する方法は以下の通りです。
- Ahrefsにログインし、サイトエクスプローラーを開く
- オーガニックキーワードを選択する
- データをエクスポート後、スプレッドシートにインポートする
- カニバリが発生しているページを確認し、対策を検討する
Ahrefsのオーガニックキーワード機能を使うことで、同じキーワードで複数のURLが検索順位に表示されているかを一覧で確認できます。データをスプレッドシートに取り込めば、キーワードごとのカニバリ状況を一目で把握することが可能です。
なお、Ahrefsについては以下の記事で詳しく解説しているため、ぜひ参考にしてください。
【有料】SEMRush

SEMRush(セムラッシュ)は、SEO分析に特化した多機能な有料ツールであり、カニバリの調査にも有効です。
SEMRushでカニバリを調べる場合は、Position Tracking機能を活用します。あらかじめキーワードを登録しておけば、カニバリの状況をモニタリングできる機能です。
カニバリが発生している場合、Cannibalizationという専用タブで詳細情報を確認できます。また、SEMRushはレポート機能も充実しており、チームでの情報共有にも最適です。

カニバリを発見した場合の対処法は以下の5つです。
- チューニングを行う
- ページを削除する
- 301リダイレクトでページを統合する
- canonicalを設定する
- noindexを設定する
チューニングを行う
カニバリを解消するために最も基本的な対処法はSEOチューニングです。カニバリが発生している場合、複数ページのコンテンツ内容やキーワード設計が類似しているケースが多く見受けられます。
コンテンツごとに異なるキーワードを設定し、検索意図の差別化を図ることが必要です。具体的なSEOチューニング方法として、タイトルやメタディスクリプション、見出しタグを見直し、重複したキーワードの削除や入れ替えを行います。
また、本文中に含まれるキーワードや内部リンクのアンカーテキストを調整すれば、検索エンジンにページごとの関連性を明確に伝えることが可能です。SEOチューニングによって、コンテンツの重複を防ぎ、検索順位の安定化やトラフィックの最適化が期待できます。
ページを削除する
カニバリが発生しているページの中に、内容が薄かったり、検索意図とずれていたり、似た情報が他のページにすでに含まれているものがある場合は、思い切って削除を検討しましょう。
たとえば、過去に作成したブログ記事やサービス紹介ページが、現在のメインコンテンツと内容的に重複しているケースでは、その古いページを削除することで評価の分散を防げます。
削除の際は、該当URLが他のページからリンクされていないか、アクセスが発生していないかなどもチェックしてください。
301リダイレクトでページを統合する
類似したページ同士でカニバリが起きている場合、301リダイレクトを使って、より評価を集めたいページへ統合する方法が効果的です。
たとえば、似たようなキーワードで書かれた複数の記事(例:「SEO対策の基本」と「初心者向けSEOガイド」)があるなら、より内容が充実している方へリダイレクトし、不要なページは閉じます。
301リダイレクトは、被リンクの評価も90%以上引き継がれるため、SEO的に最もパワーを落とさず対処できる方法の一つです。リダイレクトの設定は.htaccess(Apache)やサーバー側の設定画面などから行えます。
canonicalを設定する
重複を許容しつつ「本命のページ」を検索エンジンに示す方法
似た内容のページを削除できず、両方のページを公開したままにしたい場合は、<link rel="canonical">
タグを使って正規ページを明示するのが有効です。
たとえば、同じ商品を色違いで紹介する複数ページや、カテゴリページとフィルターページのように内容が近いケースでは、canonicalを使って「検索結果に出してほしいページ」を指定しましょう。
canonicalの設定により、検索エンジンは意図するページを正規URLとして評価し、その他の類似ページは重複コンテンツと判断しなくなります。ただし、canonicalを設定してもインデックスが完全に除外されるわけではない点に注意が必要です。
noindexを設定する
削除もできず、canonicalも適さない場合は、該当ページに<meta name="robots" content="noindex">
を設置して、検索エンジンにインデックス登録させない方法があります。
たとえば、LP(ランディングページ)や絞り込み検索の結果ページなど、ユーザーには必要だけれどSEOでは不要なページにnoindexを使うと、検索結果上のカニバリを防げます。
ただし、noindexを設定すると、そのページ自体は評価されなくなるため、内部リンクの構造や流入経路に影響が出ないか、事前に確認したうえで適用することが重要です。

SEOにおけるカニバリは、サイト運営者が気づかないうちに発生することが多く、完全に防ぐのは簡単ではありません。新しいコンテンツを追加したり、既存ページをリライトしたりしていく中で、意図せずキーワードや内容が重なってしまうことがあります。
しかし、以下の対策を行えば、カニバリを最小限に抑えることが可能です。
- どのページで、どのキーワードを狙うかを決めて管理する
- 記事を書く前に「すでに似た内容のページがないか」をチェックする習慣をつける
- サイト公開後も定期的にページを見直し、「検索順位が下がっていないか」「同じキーワードで競合していないか」をチェックする
こうしたルールや流れをチームで共有し、決まりとして運用することで、カニバリのリスクを減らせます。完全に防ぐことは難しくても、日々の運用を工夫することで、安定した検索順位を維持できるでしょう。

SEOでカニバリを解消した後に検索順位が下がる主な原因は、誤った認識によるコンテンツ削除です。本来評価されていた有益なページを削除した場合、検索順位が落ちることがあります。
この場合、削除や統合したコンテンツの内容を再確認し、検索意図に対して十分な情報を提供できているか見直すことが必要です。
また、301リダイレクトやcanonicalタグが正しく設定されているかも必ず確認しましょう。カニバリ対策は慎重に進めるべき作業であり、単純なページ統合や削除が最適とは限りません。
実行前の十分な分析と、実行後のモニタリングが重要です。
SEOにおける「カニバリゼーション(カニバリ)」は、同一サイト内のページ同士が同じキーワードで競合し合い、検索エンジンの評価が分散してしまう状態を指します。
この現象を放置してしまうと、検索順位が上がらない/下がる・被リンク評価がバラける・ユーザビリティが低下するといった深刻なデメリットを招く恐れがあります。
本記事では、カニバリが起こる代表的な原因として、
- 類似キーワードの使用
- 重複・酷似したコンテンツの存在
- キーワード戦略や設計の不備
などを挙げ、Google Search Consoleやsite:検索、Ahrefsなどのツールを活用した調査方法をご紹介しました。
さらに、カニバリが見つかった際の主な対処法としては以下のような選択肢があります。
- 不要ページを削除する
- 301リダイレクトで評価を統合する
- canonicalタグで正規URLを指定する
- noindexでインデックス対象から外す
- コンテンツを再設計・チューニングする
特に重要なのは、「現状を正確に把握し、検索意図とユーザーニーズに合った形で評価を一本化していく」視点です。
カニバリは意図せず発生しやすい問題ですが、構造的な見直しやツールを活用したチェックを定期的に行うことで、防止・改善が可能です。
もし今、思うように順位が上がらないページがあるなら、カニバリの可能性を疑い、早めの対応を行いましょう。